語学書
語学書とは、外国語(もしくは人工言語)を学習するための教材として編集された書籍である。
語学書の編集方針として、典型的なものとしては以下のようなものがある[1]。
「入門書」型
その言語を初めて学ぶ者を想定し、学習すべき順[2]に項目が並んでいる。例えば第1課で人称代名詞の主格形や繋辞動詞の現在形を学ぶといった具合である。文法よりも会話に重点が置かれやすい。複雑な活用や曲用を有する屈折語の場合、それらの活用表や格変化表を一気に暗記させるのではなく、使用頻度の高いものや重要なものから順に少しずつ覚えさせるという構成を採り、学習の負担を軽減させるための配慮が行われていることが多い。また、例文や文法解説では未習事項を極力回避しようとする傾向がある。
【例】
- 「ニューエクスプレス」(白水社)
- 「30日で学べる○○語文法」(ナツメ社)
- 「文法から学べる○○語」(ナツメ社)
「30日で学べる○○語文法」および「文法から学べる○○語」シリーズはいずれもタイトルに「文法」と入っているが、第1課(Lesson 1)から順番に学習を進める構成となっており、「入門書」型に近い方針で編集されていると言える。
「文法書」型
学習順よりも文法的なまとまりを重視して編集されている。レファレンスとしての性質が強く、多くは品詞ごとに項目が立てられている。例えば「格」や「複数形」などは「名詞」の章にまとめられていたり、「過去形」、「完了」、「受動態」などは「動詞」の章にまとめられているといった具合である。
必ずしも初学者に対する配慮が行われているとは限らず、初学者がいきなり「文法書」型の教材で独学するのは難しい場合がある。その一方で、初級文法を一通り学び終えた人(もしくはその言語の作者自身)にとってはレファレンスとしては使いやすいだろう。
【例】
- 「〇〇語文法ハンドブック」(白水社)
- 「これならわかる〇〇語文法」(NHK出版)
人工言語の資料はしばしば作者自身のためのレファレンスや備忘録として作られ、「文法書」型に近いものとなりやすい。わざわざ「学習順」や「未習事項の回避」といった配慮をする理由が希薄だからである[3]。