不規則活用の規則的生成法

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不規則活用の規則的生成法は、不規則活用を規則的に生成する方法である。クノーツアクアによって考案された。

概要

具体的には以下の様な流れで作成する。

  1. 使用するシンボルを決める。
  2. シンボルを適当に並べる。
  3. 並べたシンボルを隣り合ったシンボルと合わせて変換する。
  4. 変換結果を綴りとして割り当てる(共に発音も定義すると良い)。
  5. 他の不規則変化させる単語を選んで 2 へ戻る。

不規則活用を規則的に作るには音を表す音素を仮想的に分解したシンボルと呼ばれるものを使う。また、シンボルと音素の変換法則をまとめた表(以下、シンボル・音素変換表と呼ぶ。)を使う。シンボルは音とは全く関係のないただの記号であるため発音を考慮しなくてもよい。

やり方

ここでは 4 シンボルを使った変換をしてみる。ここで使うシンボルは [A, V, I, C] の四つとする。

シンボルが決まったらシンボル・音素変換表を作成する。ここでは以下の様にする。

A V I C
A a k v n
V g e t zh
I f d i s
C m sh z o

変換表を作成したらまずはこの表とシンボルを何らかの媒体に保存しておく(この時に何で使うために作ったのかをメモしておくとよい)。

保存が終わったら今度はシンボルを適当に並べる。

  • AVIIC
  • VAIICICC
  • VIIAVVAA

シンボルを並べたらこの並びと先ほど作成した表を見比べながら置換していく。その際には隣り合うシンボルとセットで扱う。

  • AVIIC → AV, VI, II, IC → "ktis"
  • VAIICICC → VA, AI, II, IC, CI, IC, CC → "gviszso"
  • VIIAVVAA → VI, II, IA, AV, VV, VA, AA → "tifkega"

変換結果が気に入らなかった場合は、新しくシンボル列を考えるといい。こうやってできた音素列を単語として登録していくと単語を生成できる。基本的にはこれだけである。

応用

これを使ってどう不規則活用を作るのかと言うとこの基本的なやり方に加えてシンボル列に対していくつかの処理を加えるようにする必要がある。ここでは説明で、[CIIVA] というシンボル列に対して行っているものとする。

旋回

旋回とは、シンボルを一つずつずらす処理の事である。

  • (+1) CIIVA → ACIIV
  • (+2) CIIVA → VACII
  • (+3) CIIVA → IVACI
  • (+4) CIIVA → IIVAC

となる。

反転

反転とはシンボル列を全て反対の位置に配置しなおす処理の事である。

  • (R) CIIVA → AVIIC

となる。

入替

入替とはいくつかのシンボルを選びその範囲で旋回する処理を行う事である。

  • (S+1: 1, 3, 5) CIIVA → CIA(*I*V*) → ACI(*I*V*) → AICVI
  • (S+2: 1, 3, 5) CIIVA → CIA(*I*V*) → IAC(*I*V*) → IIAVC

旋回読み

旋回読みとは変換のタイミングで行う処理で、シンボル列の末尾に来たときにシンボル列の先頭とつながっているものとして読むやり方である。やり方で説明した方法は旋回読みをしない時の場合である。先ほどの「やり方」で使った例をそのまま使う事にする。

  • VAIICICC → VA, AI, II, IC, CI, IC, CC, CV → "gviszsosh"

となる。

強み

このやり方の最大のメリットは規則的に変換したものが一見不規則に見えるという所にある。例えば先ほど使った例(変換表も参照)で入替と旋回読みを使って語形を生成すると、

  • CIIVA → CI, II, IV, VA, AC → "zidgn"
  • (S+1: 1, 2, 4) CIIVA → CIV(**I*A) → VCI(**I*A) → VCIIA → VC, CI, II, IA, AV → "zhzifk"
  • (S+2: 1, 2, 4) CIIVA → CIV(**I*A) → IVC(**I*A) → IVICA → IV, VI, IC, CA, AI → "dtsmv"

となり、被ることが無くなる。これにより規則的な変換だと思わせる事無く不規則な活用を作成できるという事である。

弱み

このやり方で生成した語形はいくつかの問題も持ち合わせている。一つは変換した後の語形が法則に則っていない場合がある事と、ルールが分かりづらい事である。前者の場合、変換表を工夫することで多少の改善は見込める。一方で後者の場合はどうしようもないという問題がある。