格
格とは、ある名詞句に付与された意味役割の事である。
例えば「私、貴方、リンゴ、与える。」という文において「私」「貴方」「リンゴ」がそれぞれ文意に関してどのような役割を担うのか、ということである。
格の標示方法は言語によって様々である。
類型
接置詞・接置辞
接置辞(接頭辞・接尾辞・接中辞・接周辞)や接置詞(前置詞・後置詞)を名詞句に付けて格を標示する。
膠着語をはじめとして多くの言語に見られる。
- 日本語(格助詞)
- 英語・ドイツ語(前置詞)
- アルカ(格詞) etc.
曲用
名詞ないし形容詞の語形を変えることによって格を標示する。
屈折語において典型的に見られる。
- ラテン語
- ドイツ語 etc.
語順
文中の語の配列順によって格を標示する。
孤立語において典型的に見られる。
- 中国語
- 英語(SVO構文における主格-対格)
- ロジバン(Place Structure) etc.
複合的な例
実用上は前述の標示方法が組み合わされることも多い。
- 英語
- 前置詞「of」や接尾辞「's」により属格が表される。
- 「I」「they」「who」などの代名詞は格により語形が変わる。
- 無標のSVO構文においては「主格+述語動詞+対格」の語順が取られる。
- アルカ
- 格詞を使って表すが、主格と対格は格詞を使わずに語順でも表せる。
- ロジバン
- 項の順序で格を標示する。項の順序を入れ替えられるように前置詞(タグ)が用意されている。
格の種類
- 斜格
- 斜格とは、標識を取りうる格の総称である。(⇔対義語:直格)
文法格
- 主格 / 対格
- 主格とは、対格言語において自動詞の主語と他動詞の動作主を表す格である。
- 対格とは、対格言語において他動詞の被動者を表す格である。
- 能格 / 絶対格
- 能格とは、能格言語において他動詞の動作主を表す格である。
- 絶対格とは、能格言語において自動詞の主語と他動詞の被動者を表す格である。
- 属格
- 属格とは、所有や部分を表す格である。生格、所有格とも呼ばれる。
- 与格
- 与格とは、間接目的語を表す格である。
意味格
- 内格 / 外格
- 内格とは、「~の中に」の様にある範囲の内にあることを表す格である。
- 外格とは、「~の外に」の様にある範囲の外にあることを表す格である。
- 始格 / 終格
- 始格とは、「~から」の様に起点や始点を表す格である。
- 終格とは、「~まで/~へ」の様な目的地や終点を表す格である。
- 具格 / 欠格
- 具格とは、「~を使って」の様に行為に際して用いる道具などを表す格である。
- 欠格とは、「~を使わずに/~なしに」という意味を表す格である。
- 共格
- 共格とは、「~と共に」の様に行為に際して伴われる共同動作主を表す格である。