態
態(英:voice)とは、主語および目的語と、動作主および被動作対象の対応関係を表す文法範疇である。
最も一般的な態は能動態であり、これは主語が動作主である。次に一般的なのは受動態であり、これは主語が被動作対象となるが、言語によって受動態がないものもある。古代ギリシャ語やサンスクリット語では、中動態または中間構文と呼ばれる態がある。中動態は、動作主も、動作の結果が及ぶ範囲に含まれる。
これら三つの他にも、逆受動態、適用態がある。また、自発、使役、願望、可能が態として含まれることもある。
これらの分類は、主格対格型言語のものであり、自動詞の主格が他動詞の目的格と同じ形となる言語(能格言語)では能動態、受動態を単純に区分することはできない。
一覧
- 能動態(active voice)
- 主格は動作主となる。
- 受動態(passive voice)
- 主格は被動作対象となる。動作主は、明示してもしなくてもよく、明示する場合は「〜に」「〜によって」"by"などで補助的に表される。
- 中動態・中間構文(middle voice)
- 動作主も動作の結果が及ぶことを表現する。古代ギリシャ語やサンスクリット語にみられる。
- 逆受動態(antipassive voice)
- 動作主は主格、被動作対象は斜格になるか、表現されない。能動態に似ているが、能動態とは別に存在し、受動態と対照的な文法を持つ。能格言語にのみ見られる。
- 適用態・充当態(applicative)
- 本来主格だけをとり目的格はとらない自動詞に、斜格(〜で、〜に等)として結合価を増やす態。アイヌ語のytak「〜が話す」は主格だけをとる自動詞であるが、適用態ko-ytakにすると「〜が〜にむかって話す」と結合価を増やすことができる。