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(そう)、あるいはアスペクト(英: aspect)とは、動作がどの段階にあるのかを表す文法範疇である。英語教育では「進行形」「完了形」と呼ばれる進行相、完了相などが代表的な相である。動詞の文法範疇には、相のほかに時制(tense)と(mood)、(voice)、モダリティ(modality)が代表的であり、特に相、時制、法は合わせてTAMと総称される。

相は、動作の段階を表すことから、同じ動詞の文法範疇である時制と混同しがちであるが、相は動作から見て、動作が始まっているか、進行中か、終わっているかを表すのに対して、時制は話し手から見て動作が過去に起こったか、現在起こるか、未来に起こるかを表す点で異なる。(ただし相には単に動作の段階を表すだけでなく、反復や話者の動作分析の態度も加わる)

しかしながら、言語によっては相と時制の区別が曖昧になったり、一方から他方が派生することがある。時制がなく相によって過去を表現する言語には中国語がある。また、日本語の過去形は完了相から派生したものである。

代表的な相

言語によって相の区分は異なり、また名称も定まっていないが、代表的には次の呼び方が使われやすい。


  • 直前相
    起動相
  • 進行相
    現象が起きている最中の段階を表す(「進行形」など)
    継続相
  • 完了相(perfect aspect)
    現象が終わった後の段階を表す。これに対して未完了または不完了相は、現象が終わっていないことを表す。スラブ系言語では、完了相と不完了相が文法的に区別される。
  • 完結相(perfective aspect)
    現象の中身が、着目する必要がない時間上の点だとして捉えた段階を表す。これに対して未完結相は、現象の中身に着目し、現象がいつ終わるかわからない段階を表す。相に分類されるが、話し手の現象に対する態度も表すため、モダリティに近い。「立った(完結相)」「立っていた(未完結相)」
  • 終結相
    終止相
    結果相


  • 習慣相
    現象が一回きりでないことを表す。

参考文献

  1. 4655. 動詞の「相」って何ですか?]