生成文法
理論の妥当性
生成言語学における理論の妥当性には以下の3分類が広く知られている。
- 観察的妥当性 (observational adequacy)
- 記述的妥当性 (descriptive adequacy)
- 説明的妥当性 (explanatory adequacy)
以下の説明はチョムスキーが1964年に示した[1]ものに基づく。
観察的妥当性
観察的妥当性を目指す文法は単にコーパス等の言語のデータについて述べるものである。当時のアメリカ言語学による文法の多くは観察的妥当性に関するものであった。
記述的妥当性
記述的妥当性を目指す文法は話者の直感について述べるものである。伝統的な文法はこのレベルに関するものである。
説明的妥当性
説明的妥当性を目指す理論はそのような記述的に妥当な文法が選ばれる仕組みの原則をいずれの特定の言語にもよらずに述べようとするものである。
アーキテクチャ
T-モデル
現在の生成言語学ではT-モデル(またはY-モデル)と呼ばれるアーキテクチャが採用されることが多い。T-モデルでは統語部門において基底 (base) に対して変形 (transformation) を行い、最終的には構造が意味表示 (semantic representation) と音韻表示 (phonetic representation) に写像される。この過程は統語論で論じられる。
生成文法というときは統語論が議論の主な対象になることが少なくない。
統語論から得られる意味表示と音韻表示のうち、音韻表示はさらに音韻部門と呼ばれる部門での操作の対象になる。この部門でどのような操作が行われるかは音韻論で論じられる。
音韻論
生成言語学における音韻論は生成音韻論と呼ばれることがある。生成音韻論において現在最も基礎的な文献として扱われるものの一つはThe Sound Pattern of English[2] (通称SPE)である。ここでチョムスキーとハレは分節を構成する素性の値を変更したり分節を削除したり挿入したりするような操作、およびそれを記述するフレームワークを定義した。このフレームワークと基礎理論は現在でも広く用いられている。ただし、彼らによれば、彼らの音韻論の基本的な方法はサピアによって行われていたものとよく似ているという。
SPEの音韻論の特徴は基底に対して書き換え操作を順に適用することである。
- ↑ Chomsky 1964, Current Issues in Linguistic Theory (https://terpconnect.umd.edu/~pietro/fall2020e/Chomsky64CurrentIssuesInLinguisticTheory.pdf)
- ↑ Chomsky, N. & Halle, M. 1968. The Sound Pattern of English. Harper & Row.