自費出版

提供:人工言語学Wiki

自費出版とは、出版社を介さずに作者が自ら費用を負担して本を出版することである。

概要

自作の人工言語を公開する方法のひとつである。人工言語の本が商業出版に乗ることは基本的にはないので、出版するとしたらほぼ自費出版とならざるをえない。[1]

メリット

  • 自作の人工言語の本を国会図書館に納本することにより、作者の死後も作品が比較的長期間にわたって残る可能性が期待できる。[2]
  • ウェブサイトよりも出版物のほうが権威があると見做される場合がある。
  • ISBNを取得して国会図書館への納本を行うことにより、いつ誰が何を書いたのかに関して国家による「お墨付き」を得ることができ、著作権を確定することができるとされる。[3]
  • 紙媒体の寿命は電子媒体に比べて充分に長いと考えられる。[4]

デメリット

  • 費用が掛かる。
  • 出版や印刷に関して一定の知識を要する。
  • 紙面やページ数の制約を受ける。
  • 一度出版すると、改定や追加が難しい。
  • 自費出版された人工言語の本が一般の書店の店頭に並ぶことは期待できず、普及や知名度向上にはつながりにくい。


なお、かつては自費出版には数十万~百万円単位で費用が掛かったが、現在ではインターネット上で利用できる電子出版やオンデマンド出版などのサービスが存在し、費用も低廉であるため、自費出版のハードルは大幅に下がっている。

ウェブサイト公開との比較

かつては自費出版が人工言語を公開するためのほぼ唯一の方法だったが、現在ではインターネットの普及により誰でも容易に人工言語を公開できるようになっている。ウェブサイト公開の特長として、以下のようなものがある。

  • ネット環境さえあれば追加費用はほとんど掛からない。
  • 内容の改定や追加も容易である。
  • 現在ではHTMLやプログラミングの知識がなくてもウェブサイトを容易に作成できるサービスが多数存在する。
  • 事実上、人工言語の活動の場は主にインターネット上であり、人工言語に興味のある人は基本的にネット上で人工言語を探したり調べたりするので、ウェブサイトのほうが書籍に比べて普及効果や知名度向上効果が高いと考えられる。


しかし、以下のような問題点もある。

  • サービス終了などによってウェブサイトが消滅する場合がある。
  • サービスによっては一定期間ログインがない状態が続くとウェブサイトが削除される場合がある。

事例

人工言語関係の資料で自費出版されたものの例を、参考までに挙げる。以下は完全な一覧とはかぎらないことに注意されたい。

注釈

  1. 辞書や文法書のたぐいではなく「架空言語が話される架空世界を舞台とした小説」などであれば商業出版の見込みはある。
  2. たとえ自費出版物や同人誌であっても、本来ならば国会図書館への納本義務がある。
  3. 法律上は著作物を作った時点で著作権は自然発生することになっているが、現実的にはウェブサイト情報だけでは剽窃行為(他者が勝手に作者を騙る行為など)に対して対処することが難しいとされている。
  4. 数百年程度。ただし酸性紙は50年程度。